【夏休み日記】
【夏休み日記】
動物園に行くと、大抵の動物はゴロゴロと日陰でお昼寝をしている。昔テレビで見た動物達は、常に喰うか、喰われるかの弱肉強食の世界に生きていた。
よく考えると、いつもいつも、狩るもの、狩られるものでいたら、疲れてしまう。いざという時、以外は体力を温存してリラックスする時間が大切なのだろう。
今年は、いつもより暑い事もあり、いわゆる夏休みの旅行の様なものには行かずに、家でのんびりしている。お店は通常営業なので、夜は仕事だけれども、家にいる時は大抵ゴロゴロしている。
息子がプールに行きたいという時は、上野毛の区営プールに行き、今までの人生で、こんなにゆっくりと泳いだ事はないと言うくらい、ゆっくりと泳ぐ。泳ぐと言うより、水中で体勢を維持する為だけに手足を動かし、たまに息継ぎをする。
泳ぐと言う事は、水の中を出来るだけ早く移動する事だと思っていたけど、いかに体力を使わずに、長時間水に浮かんでいられるかという能力を伸ばす事は、何か事故が起きた時も役立ちそうだ。
何よりのんびりしていると、まるで魚になった様な気分になり心地がいい。
【夏バテ】
熱中症という言葉が完全に定着した昨今。昔よりだいぶ暑くなった夏は、それと共に重ねてきた歳のせいか、外を歩くと、流石にこの暑さはしんどいなと、思う日が多くなる。
熱中症という言葉がかなり定義もしっかりする中、曖昧なのにしっかり市民権を持っている言葉が「夏バテ」だ。熱中症ほど深刻感は無いが、「夏バテ」を自覚する事の大切さは、自分に対する優しさでもある。
何となく疲れてるなぁ、それも「夏バテ」の兆候。何となくだるいなぁ、とか疲れがとれないとかは、体の示す大切なシグナルで、そんな時は予定を変更して、ちょっとひと休み。涼しくして、少し横になって、胃に優しいものを食べる。
夏休みとなると、何となく心も夏バテをする。暑いし、特に予定もないし、それでもやらなきゃいけない事があっても、少し集中力にかけてしまう。ダラダラと流れる汗と、ダラダラと過ごす昼下がり。
街の人の流れもまばらで、帰省や旅行で減った街に、お店も夏休みをとって休みも増える。
そんな中やっているBARも何となくのんびりしている。夜でも暑い日が続いたり、突然の豪雨が降ったり、何となくマイペースが保てない時に立ち寄る止まり木。
【港】
波の音のするトイレ。沖縄のやちむん(やきもの)の洗面台。
「トイレの中は沖縄だから、ちゃんと帰ってきてね。」と冗談がでる。
この場所は本当に「港」ですよ。ついつい寄ってしまって。との声。
トイレ波音がしますね。この裏は目黒海岸ですので。
と、何となく言葉遊びをするカウンター。
少し普段と違う雰囲気のするこのお盆時。近くで焼肉を食べてきたご夫婦が、普段はお酒を飲むのに、食べ過ぎたからと、2人で仲良くコーヒーを飲んで帰られる。
お酒だけがBARではない。
一時お酒を飲むのを控えてるお客様が、立ち話をしに来てくれる。
「やっぱりここのジャックのロックは美味しいですよ。」と。
そう思ってもらえるのは、バーテンダーとしての喜び。
お盆が終わり、夏休みが終わる。
暑すぎて頭がボーッとしているのか、少し緩くやっても良いのかなって錯覚をしてしまう。
四季もここで折り返し、やがて涼しさを取り戻す。暑さに強いと思われているミントが全滅の危機を迎えつつ、日陰の下で静かに小さな新芽をつける。
プールとか、花火とか、祭りとか、海岸とか。何故か夏のうちにこなしておきたい単語たち。
暑いせいで何となく後回しにされなが、暑さが多少落ち着くと、夜な夜なBARという「港」に人が集まる。突然の夜中のゲリラ豪雨も、ゆっくり1杯飲んでいるうちにあがって凪が訪れる。