【丸くなる?カクテルの話】

【丸くなる?カクテルの話】

今回は少し前に書いていたお話が眠っていたのでアップさせて頂きます。

あくまでも個人的な主観に基づきという前提でお読みいただけたら幸いです。


まだ20代の時、お客様にとある老舗バーに連れて行ってもらった時の話です。


バーのマスターは既に70代後半に見えました。20代からバーの世界にいるとすれば、およそその経歴40年から50年の超ベテラン。

その当時のホテルバーではショートカクテルのトレンドはドライ志向でした。

私は個人的にあまりドライ志向と言うものが好きでは無く、今も作るカクテルは比較的甘めだと自己分析しております。


そのマスターのカクテルはとても柔らかい口あたりで驚きました。

当時、流行りのカクテルより大分甘みも強く感じましたが、決して甘ったるくなく、「丸い」と言う感覚を感じたのを覚えております。



【磨かれ丸みを増してゆく】

バーでは色々な物を磨きます。ボトル、カウンター、グラス、そして氷です。

アイスピックである程度形を作った後、ナイフで角を削ぎ落とすように磨いてゆくと丸い氷が出来上がります。

(※危ないので真似しないでください)

「年を重ねると人も角が取れて丸くなる。」

なんて言いますが、個人差はあれど、そういう事は有るように思おます。

沢山の人と触れ合う経験の中で、人の優しさや、人の許容に触れ、自分も人に優しく、人を許せる様になっていゆけたら良いなと思ったりします。



【尖ってるも褒め言葉ではあるけれど、、】


若い頃は「あいつは尖ってる」

なんて言われる事も一種褒め言葉として感じる事もありましたが、40歳を過ぎてそう言われたとしたら少し恥ずかしい気持ちも生まれてしまいます。

人の味覚も歳とともに少しずつ変わって行く様で、昔好きだったファストフード屋さんやファミレスのパスタ、安さが売りの焼肉屋さんなどから、以前の感動を得られなくなった様に感じます。

年上の方が、「美味しいものを少し食べれば十分」といっていた言葉が、少し分かる様になってきた気がします。

若い頃は、なんでも美味しくて量をたくさん食べ、たくさん飲みたかった。

時間を重ねていくと、気づかずに少しずつ体質や感覚が変化する事を後から気づく事がある。「角がとれる」というのか、単純に「年をとる」と言うのか。

その時間の中で、世の中の変化や、身近な所での出来事に翻弄される事もあっただろうな。

ふと思い出した若かりし頃のバーでの一杯。

かつて飲んだ時の感動と発見を、今度は提供する側になれる様、ここからまた30年、40年精進して行けたらと思おます。

、、今日はバレンタインデーでしたね。お店お休みして、外に出ていないのですっかり忘れておりました。

Previous
Previous

【奇跡の一本松の根展】

Next
Next

【ととのう】