シリーズ【鳥さん物語】〜第①羽〜
〜第①羽〜
【トリガー・出逢い】
たまに、人生には不思議な言葉が降りてくる。まるで、誰かがそう言わせたかの様な。コウノトリが連れてくる運命の様な。
我が家に1羽目の鳥さんが来たのは、2023年5月。
頬がオレンジで知られるオカメインコ。色は背中がグレーがかったパイドという。
顔や立髪が鮮やかな黄色なのでヒマワリ🌻と名付けられる。
出会いはあまりにも偶然的で、
そして必然的だ。
その日、昼下がり、息子と散歩がてら自由が丘の「ひかり街」のペットショップに、「ハムスターでも見に行こうとか。」と言って向かったのを覚えている。
うちでは生き物は飼わないと、何度か話し合っていたので、ハムスターも見に行くだけ。生き物に会いたくなったら、そういうところに行けば東京でもそれなりに、多様な生き物に会える。
もちろん実際にお家にお迎えしたら違うのだろうけど。
「うちでは飼わないから、見に行くだけだ。」
と確認して、おじさんの居るお店の前で立ち止まる。いつもここには、何人かの子連れや、思わずその愛くるしい子達に見惚(みと)れて立ち止まる人の姿がある。
「ジャンガリアン」という小さなハムスターは、ケージの中で何匹も寄り添い丸くなっている。時折り小走りで走る子もいれば、口の中にヒマワリの種を頬張る子もいる。
そんな、可愛らしい、ペットショップでは日常的な風景に触れながらひと時をすごした後、センサーで開く「ひかり街」の自動ドアを通り抜け外に出る。
ふと息子が発した不思議な言葉が、私達の運命を変える。
「僕さ、どうせ飼うならハムスターじゃなくて、鳥さんがいいのよ。」
「え?」
息子の誕生日直前の出来事だった。
【とりあえず・再訪】
そんな昼下がり。
お散歩を終えて、息子は習い事に。
近くのちょっとした洋館風のカフェに初めて入り、妻に先程の息子の不思議な発言をただの世間話として話していると、、
「鳥さんならもしかしたら良いのかもね。」
と、思いもしない言葉が。
今私は、世界を変える大きな不思議な渦の中にいる。まるでワンダーランド。
「うちでは飼わないよ。」の前提で、ハムスターを見に行ったのに、息子はなぜか迷う事なく、「飼うなら鳥さん。」と。
そして今、妻は「鳥さんなら良いのかも。」
と。
突然、今、追い風に乗り羽ばたく時が来たのだ!そう!鳥の様に!
これはチャンスだ!このタイミングを逃しては行けない。
すぐに私は、「とりあえず、見るだけ行ってみよう!」と、洋館カフェでのお会計を済ませ、おじさんの居るお店に向かう。運が良いことに、カフェからは5分の距離。
そしてまた、自動ドアを通り抜ける。
【とりおき・出会い】
改めて見ると、確かにおじさんのお店は、鳥が沢山いる。その中で、「ハムスター」だけを見ていたのは、うちでは飼わないと決めた心が揺れてしまう事を恐れてだったのか。
はじめてマジまじと鳥さん達をみる。
大きくて今にも話し出しそうな子や、寄り添う子、眠っている子、餌を食べてる子。
一言でいっても鳥の種類は多様なのが見て取れる。
コレだけ沢山いらっしゃると、目移りする、、、いや、今は,とりあえず、見に来ただけだった。。
その時。妻が、頬をオレンジ色に染めた、黄色い立髪が鮮やかな1羽を見つめながら、「この子。」と呟いた。
帰宅して約2時間、憂鬱そうな妻と、沈む夕日が、その日のエンディングを決めかねている様に、横たわっていた。
お迎えするのか、しないのか。
お迎え出来るのか、出来ないのか。
何を用意するのか。何をしてあげたら良いのか。
高速に妻の指先と、スマートホンの画面が動き続けている。
私も覚悟をしないといけない。
昔、亀やら魚やらハムスターやらを飼っていた。今は、久しくその生活から離れていた。
それでも、思い切って、妻に言う。
「今、鳥のおじさんの所に行かないと、明日には他に行ってしまうかも知れない。閉店までまだ少しある。今日はお迎え出来ないど、すぐに準備にかかるから、何日か『とりおき』して貰えないかと聞いてみよう。」
そんな事をいったきがする。
そして妻はこちらを向き「ヒマワリ🌻」と呟いた。
「とりだけに。」と言いかけた私は、思わず急いで、「ヒマワリ🌻」とおうむ返しをして、深く、2度、頷いた。
【止まり木・このお話のあとがき】
このやり取りの次の日から、那須への旅行があったので、すぐに鳥のおじさんのお店に行き、18時の閉店直前に、そのオカメインコさん(ヒマワリさん🌻)を取り置きしてもらい、旅行後すぐにお迎えする事になる。その話もこれから引き続きシリーズとして書き綴って行こうと、こうやって書いてみて決意する事ができた。
しばらくブログを書く事が出来ないでいた。数少ないこのブログのファンのお客様から、心配の声が聞こえてきた。
最近鳥さんが可愛すぎて、世の中に不満が激減し(世の中が良くなった訳ではないが)、書く意欲が落ちているのだなと。
そんな折、鳥の事を書いたら良いと。しかしそれはただの惚気(のろけ)。親バカではないかと。それでも、鳥の可愛らしさを書いたらいいと言われ、またスマホの画面に向き合う。
すぐに2024年も明けてしまうが、来年はこの【鳥さん物語】と共に、また数多くのブログを書ける事を願って。